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加工食品の前面表示に関する欧州その他の各国の取り組みと、欧州の消費者団体の対応について(1)

7/30/2022

 
日本では食品の栄養成分は、包装容器の裏面に表示されていますが、欧米では裏面に加えて前面にも、グラフィックを用いて分かりやすく表示されています。このブログでは包装前面栄養表示テーマに3回連続で、1) 欧米での包装前面表示の概要、2) 前面表示でEUを主導するフランスの政策と、消費者団体の支援活動、3) フランスでの前面表示義務化と事業者の反応を含め、EUでの前面表示統一への動きについて紹介します。

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1.加工食品の前面表示の取り組みの概要

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この食品包装前面表示は英語で、Front Of Pack Labelling、略称としてFOPLと呼ばれていますので、このブログでも以後FOPLと記します。FOPLはWHOが2004年に食事と健康を改善するための政策措置として最初に提案したもので(注1)、現在、欧州のフランス、イギリス、スウェーデン、フィンランドに加え、米国、オーストラリア、ニュージーランド等の国で任意表示として、それぞれ独自に存在しています。世界では現在、約10種類のFOPLがありますが、その主なものは以下
の通りです。
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(1) Nutri-Score 〜 フランス、ベルギー、スペイン、ドイツ、オランダ、ルクセンブルグ​​​ エネルギー

糖分、飽和脂肪、ナトリウム、「果物、野菜、ナッツ」、繊維、タンパク質の含有量に基づいて、栄養スコアを5段階に分ける。英国食品基準庁(FSA)の栄養素評価基準に基づくアルゴリズムを、フランスの栄養推奨との一貫性改善のために、小さな変更を加えたもの。栄養スコア計算の基準は100gまたは100mlだ。
出所:EC Joint Research Centre, 2020(注1)

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​(2) UK Multiple Traffic Lights (MTL) 〜 英国

​エネルギー、脂肪、飽和脂肪、糖、塩をグラム単位でと、1日の参照摂取量のパーセンテージとして示し、栄養素の低(緑)、中(橙)、および高(赤)レベルを信号機の色分けで示す。追加情報として100gまたは100ml当りのエネルギーも表示している。
​出所:EC Joint Research Centre, 2020

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(3) Keyhole 〜 スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、アイスランド、リトアニア、北マケドニア

​製品カテゴリに応じたエネルギーとさまざまな栄養素の閾値レベルに基づく承認スキーム  (ポジティブロゴ)。鍵穴のラベルが付いた食品は、記号が付いていない同じ種類の食品よりも、糖分と塩分が少なく、繊維と全粒穀物が多く、健康的または脂肪が少ない。甘いスナックなど一部の食品カテゴリでは、ロゴを付けることが許可されていない。
出所:Swedish Food Agency


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(4) Daily Intake Guide 〜 オーストラリア


​エネルギー、脂肪、飽和脂肪、糖、ナトリウムを(ミリ)グラムで、1日の参照摂取量のパーセンテージとして示す。表示が許可されている追加の栄養素は、タンパク質、炭水化物、ビタミン、
ミネラル。通常はモノクロで表示されている。
出所:EC Joint Research Centre, 2020

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(5) Facts-Up-Front 〜 米国

​カロリーのみ、または飽和脂肪、糖分、ナトリウムと一緒のエネルギー(ミリ)グラム。奨励する最大2つの栄養素の情報を含めることができる。通常はモノクロで表示されている。
出所:EC Joint Research Centre, 202

2.EUとしてのFOPL統一の取組み

EUは2019年12月、EU経済を持続可能な正体へ移⾏させる目的で“欧州グリーンディール政策”を公表し、農業・食品分野では、生産から消費までの食品システムを、より健康的で持続可能なものへと移行する“Farm to Fork戦略”を打ち出しています。この中で、消費者が健康的で持続可能な食事を選択しやすくする明確な情報を提供することは、健康と生活の質に利益をもたらし、健康関連のコストを削減するとし、欧州委員会は、2020年5月、FOPLの統一を提案すると公表しました(注3)。次回は、フランスのNutri-Scoreと、それを応援する消費者団体の活動についてご紹介します。
                                   
注:
1. Nutrition Labelling: Policy Brief, World Health Organization (WHO), 2004.
2. Front-of-pack nutrition labelling schemes: a comprehensive review, European Commission Joint Research Centre, 2020.
3. European Union's Farm to Fork Strategy, Food and Agriculture Organization (FAO), 2020.

                                                                                                                                  南澤 陽一 (消費者ネットジャパン理事 )
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    著者

    じゃこネット会員は、国内や海外の消費者情報を伝えます。

    注:
    このブログに掲載する原稿は執筆者個人の意見・情報であり、じゃこネットを代表するものではありません。

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