NPO法人消費者ネットジャパン(じゃこネット)
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「食品ロス」を考える~                 コロナ時代を生きる消費者として~

4/25/2021

 
1.「食品ロス」とその現状、なぜ問題なの?コロナ禍の影響は?
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日本国内では、コンビニや外食産業での作りすぎや食べ残し、賞味期限切れによる「食品ロス」があふれている。「食品ロス」とは、まだ食べられるにもかかわらず廃棄されてしまった食料のこと。

日本で年間に排出される約2,550万トンの食品廃棄物のうち、まだ食べることができるのに廃棄される「食品ロス」は、年間約612万トン(農水・環境省2017年推計)で、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料援助量(国連世界食糧計画(WFP)2017年;約380万トン)の約1.5倍を超えている。日本の食品ロス量のうち、「家庭系」284万トン、「事業系」328万トンで、事業系の中で、4割近くを「外食産業」が占めている(下記の農水省HPデータを参照)。
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一方で、世界では飢餓に苦しんでいる国が多いことを忘れてはならない。現在、食料生産は、世界中の一人ひとりが食べられる分の生産量を維持出来ているが、3分の1が食品ロスで消えており、その総量は2億人分にも上るそうでる。

先進国ではコロナ禍以前から、食品の大量生産や過剰生産、賞味期切れ食品の大量廃棄により、流通・消費の場面で大量の食品ロスが起こっていたが、さらに、2020年からの世界的な新型コロナウイルス、COVID-19によるパンデミックが、国内外で大量の食品ロスを引き起こしている。感染防止対策の一環で、国内でも学校給食やさまざまなイベントが中止され、飲食店や食品販売業の営業時間短縮、客足の大幅な減少により、農産・畜産・海産物等の食料や加工食品の購入者が減り、大規模な食品ロスが発生したからである。

コロナ禍が長期戦の様相を見せる中、このまま食品ロスが加速すると、途上国を中心とした人口増大による食料危機を招き、先進国でも、廃棄された食品を運搬・焼却する際にも二酸化炭素(CO2)が排出されるため、地球環境の悪化にもつながる。ちなみに、食料廃棄によって発生するCO2排出量は、米国、中国に次いで日本が3番目に多く、地球環境に深刻な影響を与えている。
 
2.世界と日本の取組みは?私たちが今日からできることを考えよう!

国際的には、2015年9月国連総会「持続可能な開発のための2030年アジェンダ」で食品ロス問題が言及された。食品ロスに関連したSDGsとして、12番目の目標「つくる責任 つかう責任」が挙げられるが、SDGsの具体的目標では、2030年までに世界の1人当り食品廃棄量を半減することが掲げられ、日本でも2000年比で、家庭の食品ロス量を2030年度までに半減する目標が設定された。

日本国内では、目標達成のために、官民を挙げてさまざまな取組みを行っている。法規制面では、2007年食品リサイクル法を改正し、食品廃棄物の“発生抑制目標値”を外食産業等の特定業種に設定、取組みを強化した。続いて政府は「食品ロス削減関係省庁等連絡会議」を設置、官民一体での「食品ロス削減国民運動(NO FOODLOSS PROJECT)」を開始、その一環として、農水省では同プロジェクトを親しみやすくアピールするため、“食品ロス(LOSS)をなくす(NON)”を意味する、ロゴマーク「ろすのん」を誕生させている:https://yahoo.jp/WX0gMg

さらなる法整備として、2019年10月「食品ロス削減推進法」を施行し、10月を「食品ロス削減月間」、10月30日を「食品ロス削減の日」と制定、消費者庁では、農水省・環境省と連携し、さまざまな取組みを強化している。
消費者庁HP「コロナ禍での“新しい生活様式”の中での食品ロス削減の工夫」:https://www.no-foodloss.caa.go.jp/summary_page.html では、1)飲食店のテイクアウト販売の活用、2)引き取り手がなく捨てられそうな農産物を販売するインターネットサイトの活用、3)購入した食品を使い切る工夫など、日常生活で即、実践できる具体的な提案、企業の取00組み事例を紹介している。
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民間でもNPO法人を中心に、フードバンク・フードドライブ、ドギーバッグ普及運動など、さまざまな食品ロス削減運動を展開しているが、私自身、エシカル消費を目指す消費者として、①安くても(消費・賞味)期限内に食べ切れる量を想定して購入する、②美味しく食べられる量だけ調理する、③レシピサイト等を活用して期限内に食材を使い切る、④保存食や冷凍術を学んで、無駄を減らす食品の保存・調理スキルを磨く等、コロナ禍の中でも、楽しみながら食品ロスを減らす食生活を日々実践していきたい。
               

                                    (消費者ネットジャパン理事 大西 慧子)

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