講師の福島直央氏より、デジタルを活用した医療・健康情報の利活用と私たちの暮しへの影響などについて、わかりやすく解説いただきました。
1. セミナーの概要
消費者ネットジャパンでは、“日本のデジタル社会と消費者”について考えることを目的に公開講座を企画し、今回は2回目のセミナーとして医療・健康情報をとりあげた。講師は、ファストドクター株式会社 執行役員 /公共政策部長 の福島直央(ふくしま なお)氏。2024年2月19日(月)、68名の参加を得てオンラインで開催した。
2. ファストドクター株式会社について
福島氏は、同社における公共事業・公共政策を所管する執行役員として、地域医療の支援、医療政策への提言等に携わっている。同社は日本初の時間外救急プラットフォームとして、速やかな往診やオンライン診療を進め、様々な課題を抱える医療現場への支援と、消費者の不安解消の実現を進めている。テクノロジーを駆使した新たな医療インフラの創造を目指している。
3.医療を取り巻く課題について
医療現場では「2040年問題」と称して、国民の3人に1人が高齢者となり、医療従事者自身の高齢化や医療・介護分野の担い手も急減すること等が問題視されている。社会保障費の圧迫等も鑑み、限られたリソースで「いかに効率よく、質の高い医療を提供する」かが課題である。あえて“生産性の向上”という捉え方をし、そのためのデジタル化が急務であると提言している。未だにアナログ対応が主流のカルテや処方箋への対応を、デジタル化するだけでも現場の負担を減らすことができ、さらに情報共有することにより高質な診療に資することができる。
4.医療(健康)情報のデジタル化と消費者の関係について
「医療情報」と「健康情報」は異なる。「健康情報」は健康診断の結果や保健指導の内容等で、ヘルスケアとよばれるもの。「医療情報」は特定個人の病歴、障がいの状況、診療・指導・調剤等の実績をさす。デジタルによる共有化が必要なのは「医療情報」であり、マイナポータル上から入手できる患者個人の情報を元に治療等で活用するとともに、研究現場でもその成果を新たな治療方法等社会還元につなげることができる。消費者にとっては、最適な治療を早急に受けることができる。例えば救急搬送されるときも、病歴や投薬情報を引き出すことができれば、すぐに適切な医療機関を選び向かうことができる。震災現場の避難所でも通院履歴や服薬情報があれば個別の対応が可能となる。
5.救急現場のひっ迫について
119番通報や夜間救急への不要不急な連絡が多いことが問題となっている。本当に必要な重症患者に迅速に対応できるよう、受診行動変容への3つのソリューションを提供している。「医療相談の実施」「119+オンライン診療・往診」「救急外来×オンライン診療」により、不急の軽症患者の診療を減らし、加えて患者の不安も解消できる。電話やLineの相談窓口では救急搬送の是非、往診やオンライン診療の案内、具体的な病院案内等を行っている。今後医師の働き方改革等が実施されると、さらにオンライン診療が重要となる。私たち消費者も現状をきちんと理解し、デジタル化を進めていくことの重要性を改めて感じました。
(NPO法人消費者ネットジャパン理事 石川純子)
消費者ネットジャパンでは、“日本のデジタル社会と消費者”について考えることを目的に公開講座を企画し、今回は2回目のセミナーとして医療・健康情報をとりあげた。講師は、ファストドクター株式会社 執行役員 /公共政策部長 の福島直央(ふくしま なお)氏。2024年2月19日(月)、68名の参加を得てオンラインで開催した。
2. ファストドクター株式会社について
福島氏は、同社における公共事業・公共政策を所管する執行役員として、地域医療の支援、医療政策への提言等に携わっている。同社は日本初の時間外救急プラットフォームとして、速やかな往診やオンライン診療を進め、様々な課題を抱える医療現場への支援と、消費者の不安解消の実現を進めている。テクノロジーを駆使した新たな医療インフラの創造を目指している。
3.医療を取り巻く課題について
医療現場では「2040年問題」と称して、国民の3人に1人が高齢者となり、医療従事者自身の高齢化や医療・介護分野の担い手も急減すること等が問題視されている。社会保障費の圧迫等も鑑み、限られたリソースで「いかに効率よく、質の高い医療を提供する」かが課題である。あえて“生産性の向上”という捉え方をし、そのためのデジタル化が急務であると提言している。未だにアナログ対応が主流のカルテや処方箋への対応を、デジタル化するだけでも現場の負担を減らすことができ、さらに情報共有することにより高質な診療に資することができる。
4.医療(健康)情報のデジタル化と消費者の関係について
「医療情報」と「健康情報」は異なる。「健康情報」は健康診断の結果や保健指導の内容等で、ヘルスケアとよばれるもの。「医療情報」は特定個人の病歴、障がいの状況、診療・指導・調剤等の実績をさす。デジタルによる共有化が必要なのは「医療情報」であり、マイナポータル上から入手できる患者個人の情報を元に治療等で活用するとともに、研究現場でもその成果を新たな治療方法等社会還元につなげることができる。消費者にとっては、最適な治療を早急に受けることができる。例えば救急搬送されるときも、病歴や投薬情報を引き出すことができれば、すぐに適切な医療機関を選び向かうことができる。震災現場の避難所でも通院履歴や服薬情報があれば個別の対応が可能となる。
5.救急現場のひっ迫について
119番通報や夜間救急への不要不急な連絡が多いことが問題となっている。本当に必要な重症患者に迅速に対応できるよう、受診行動変容への3つのソリューションを提供している。「医療相談の実施」「119+オンライン診療・往診」「救急外来×オンライン診療」により、不急の軽症患者の診療を減らし、加えて患者の不安も解消できる。電話やLineの相談窓口では救急搬送の是非、往診やオンライン診療の案内、具体的な病院案内等を行っている。今後医師の働き方改革等が実施されると、さらにオンライン診療が重要となる。私たち消費者も現状をきちんと理解し、デジタル化を進めていくことの重要性を改めて感じました。
(NPO法人消費者ネットジャパン理事 石川純子)